毎月分配型と分配金がない投資信託のパフォーマンスを比較してみました。
比較対象
比較対象のファンドは以下の通りです。
- ピクテ・グローバル・インカム
- インベスコ世界厳選株式(為替ヘッジなし)
どちらも以下2つのタイプがあるため、ファンドごとに比較していきます。
- 毎月分配型
- 1年決算型(≒分配金なし)
目次
- 比較結果
- ピクテ・グローバル・インカムの比較
- インベスコ世界厳選株式の比較
- 税金とNISA
- 分析
- 運用会社の見解
- 純資産総額
- 私個人の話
1. 比較結果
過去の収益率を比較した結果は以下の通りです。
- 長期間運用した場合、分配金なしのほうがパフォーマンスが高いです。
- 年間収益率を見ても、分配金なしのほうがパフォーマンスが高くなる傾向があります。
- 収益がマイナスの年は、毎月分配型のパフォーマンスが優れていることもあります。ただし、全ての年に当てはまるわけではありません。
以下に比較内容を記載していきます。
2. ピクテ・グローバル・インカムの比較
2014年~2022年末までの、9年間運用した場合のトータルリターンは以下の通りです。
毎月分配型 | 1年決算型 |
---|---|
35.7% | 78.5% |
分配金は非課税で再投資しない前提です。年間収益率は以下の通りになります。
毎月分配型 | 1年決算型 | |
---|---|---|
2014年 | 20.9% | 23.0% |
2015年 | -9.6% | -10.2% |
2016年 | -1.0% | -0.6% |
2017年 | 8.1% | 8.5% |
2018年 | -6.2% | -6.6% |
2019年 | 23.3% | 25.2% |
2020年 | -6.1% | -5.7% |
2021年 | 19.2% | 21.0% |
2022年 | 12.0% | 12.5% |
毎月分配型が1年決算型を上回った年は、2015年と2018年の2回だけで、いずれも下落局面になります。
3. インベスコ世界厳選株式の比較
2019年~2022年末までの、4年間運用した場合のトータルリターンは以下の通りです。
毎月分配型 | 1年決算型 |
---|---|
36.1% | 57.8% |
こちらも非課税分配金を再投資しない前提で、年間収益率は以下の通りになります。
毎月分配型 | 1年決算型 | |
---|---|---|
2019年 | 20.8% | 23.4% |
2020年 | -10.1% | -7.1% |
2021年 | 31.2% | 33.9% |
2022年 | 2.0% | 2.9% |
毎月分配型が1年決算型を上回った年はありませんでした。
4. 税金とNISA
今回の比較では、分配金が非課税となっていることが注意点です。
毎月分配型の投資信託は、新NISA(2024年開始)の対象外になりました。そのため、今後は非課税と同じ収益を出すのが難しくなっていくはずです。
NISAの対象外になった理由は、以下のリンク先を参照して頂ければと思います。
5. 分析
毎月分配型の場合、運用中の資産の一部を解約(換金・現金化)して、分配金を受け取ることになります。
解約した資産は市場から撤退するので、基準価額が値上がりしても影響を受けなくなり、パフォーマンスが低下してしまいます。
逆に、高い基準価額で解約して、その後基準価額が下がっていく場合は、値下がりの影響を受けなくなります。下落局面で毎月分配型の方が優れている年があるのは、そのためだと思います。
長期間の運用で差が大きくなるのは、解約した分の複利効果が消えるためだと感じています。
6. 運用会社の見解
インベスコの方は、日経新聞の取材 で以下のように回答しています。
現在の売れ筋は『為替ヘッジなし・毎月決算型』だが、来年から始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)には年1回決算型を活用してもらいたい。分配金を出さずに運用しているため、長期的に複利効果でより大きいリターンが期待できる。
※ 2023年6月19日の記事です。
7. 純資産総額
今回比較したファンドは、いずれも毎月分配型のほうが純資産総額が多くなっています。
ただ、目論見書を見ると、毎月分配型も1年決算型も同じファンド(or マザーファンド)に投資しているようでした。
両方の資産が集められて、世界各国の株式などに投資を行っていることになります。
7.1. ピクテ・グローバル・インカムの場合
毎月分配型と1年決算型は、どちらもファンド・オブ・ファンズ方式で以下のファンドに投資しています。
7.2. インベスコ世界厳選株式の場合
毎月分配型と1年決算型は、どちらもファミリーファンド方式で以下のファンドに投資しています。
- インベスコ世界先進国株式マザーファンド
8. 私個人の話
私が最初に購入した投資信託は、ピクテ・グローバル・インカムの毎月分配型でした。その後、インベスコ世界厳選株式(為替Hなし)の毎月分配型も購入しました。
投資を始めるきっかけにもなったので、今でも非常に感謝しています。