国内のS&P500投資信託と、人気投資信託の収益率を比較をしていきます。
※ この記事は、今後の運用成果を保証するものではありません。
目次
- はじめに
- 比較内容
- 総収益の比較結果
- 年間収益率の比較結果
- 感想
- 債券について
- 比較対象
- データ
- 対象外の商品
- 同じ指数の商品
- 比較対象外一覧
- Yahooファイナンスの記録
1. はじめに
以下の記事や「敗者のゲーム」を読んで、S&P500に勝てるファンドは少ないと知りました。
プロ投資家の9割が市場に勝てない本当の理由 - チャールズ・エリス
そこで、本当にそうなのか自分でも調査してみようと思いました。
記事の構成ですが、比較結果と感想をできるだけ先に書いて、それから比較対象の投資信託と条件を書いています。
2. 比較内容
期間を2014年~2022年末の9年間に設定して、以下の内容を比較しました。
- 総収益
- 年間収益率
年間収益率は「S&P500より増収の年が多い商品はあるか?」、という観点で比較しました。
3. 総収益の比較結果
S&P500より強かったのは以下三つの商品でした。
- eMAXIS NASDAQ100インデックス
- AB・米国成長株投信Bコース(H無)
- AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金
2014年の初めに一括買いをして、2022年末まで保有した場合のトータルリターンは以下の通りです。
略称 | 収益率 |
---|---|
NASDAQ100 | 300.58% |
AB米株Bコース | 240.70% |
AB米株Dコース | 206.35% |
S&P500 | 198.64% |
楽天・全米株 | 163.29% |
全世界 | 134.80% |
日本リバランス | 122.76% |
上記以外の対象商品は、収益率が100%を下回っています。ただし、比較対象の商品は、いずれもトータルリターンがプラスとなっています。
4. 年間収益率の比較結果
S&P500よりも、増収の年(回数)が多い投資信託はありませんでした。詳細は以下の通りです。
略称 | 増収 | 減益 |
---|---|---|
S&P500 | 7 | 2 |
NASDAQ100 | 7 | 2 |
楽天・全米株 | 7 | 2 |
日本リバランス | 7 | 2 |
AB米株Bコース | 6 | 3 |
AB米株Dコース | 6 | 3 |
全世界 | 6 | 3 |
インベスコ世界株 | 6 | 3 |
他の対象商品は、上記の増収回数を下回っています。
細かく見ていくと、S&P500の収益率よりも、他の投資信託の収益率が高い年も見受けられました。
5. 感想
S&P500に勝つファンドもあったので、非常に興味深いと感じました。
今回の条件だと、投資先がアメリカ株式のファンドが強かったです。アメリカ株式に投資することが、高い収益を上げる条件だったのかもしれません。
為替の影響(円安ドル高の傾向)も大きく、ドル建てでも強いアメリカ株が、さらに高いパフォーマンスになっていると思います。
6. 債券について
債券のファンドは、かなり厳しい結果となりました。
略称 | 収益率 |
---|---|
りそな国内債券 | 2.93% |
外国債券SMTB | -3.06% |
りそな国内債券は9年間、今回の比較対象外となった外国債券SMTBは、8年間(2015~2022年末)のトータルリターンです。
私も当てはまるのですが、以下の条件に該当する個人の場合、債券に投資するメリットは少なかったのかと感じています。
日本版Bloombergでも、株式100%が「株6割+債券4割」を上回る、といった記事が出ていました。
株式100%の戦略が老後資金の新常識、債券との分散投資上回る-論文
「卵を一つのカゴに盛るな」という格言もありますが、昔のような利率の債券はないのが現状だと思います。分散投資自体が否定されるものではないですが、何に投資するのかが大事だと改めて感じました。
7. 比較対象
Yahooファイナンス の投資信託ランキング(2023年12月26日時点)で、以下いずれかの条件を満たした商品を対象としました。
- 純資産残高が10位以内
- 月次の資金流入が10位以内
ただし、その中でも一部の商品は対象外としていて、理由は後述させて頂きます。また、上の条件は満たしていませんが、参考としてNASDAQ100を追加しています。
比較対象とさせて頂いた商品は以下の通りです。
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS NASDAQ100インデックス
- AB・米国成長株投信Dコース(H無) 予想分配金
- AB・米国成長株投信Bコース(H無)
- 楽天・全米株式インデックス・ファンド
- 日本好配当リバランスオープン
- インベスコ 世界厳選株式<H無>(毎月決算型)
- ピクテ・グローバル・インカム株式(毎月分配)
- FWりそな国内債券インデックスファンド
8. データ
各ファンドの目論見書に記載されている年間収益率を参照させて頂きました。注意点は以下の通りです。
- 分配金は非課税で再投資
- 過去の参考情報あり
後者ですが、例えば「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は設定日が「2018年07月03日」のため、それ以前のデータは実績ではなく参考情報になります。
トータルリターンの計算方法は、以下の記事に記載しています。
9. 対象外の商品
目論見書に以下の内容が存在しない商品は、同じ期間の収益を比較できないため、対象外とさせて頂きました。
- 年間収益率の数値がない
- 過去の参考情報がない
10. 同じ指数の商品
同じインデックスに連動する商品は、上位の投資信託だけを対象としました。
同じ指数に連動していれば、大体同じ収益になると思います。
11. 比較対象外一覧
以下の商品が比較対象外となりました。
年間収益率の数値無し(グラフのみ)
過去の参考情報無し(9年間のデータ無し)
- グローバルESGハイクオリティ成長株式(H無)
- 外国債券SMTBセレクション(SMA専用)
同じ連動指数の商品有り
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
12. Yahooファイナンスの記録
以下は比較時点の情報になります。