一般的な個人に債券は必要なのか、米国の研究論文や敗者のゲームのことも含めてまとめてみました。
目次
- 結論
- 米国の研究論文
- チャールズ・エリス氏の見解
- 債券とインフレ
- 日本のインフレ目標と国債
- 債券の安全性
- 債券とS&P500の投資信託
- 機関投資家との違い
- 株式の損失をカバーする難しさ
- 長期保有で損失をカバー
- 私の方針
- 注意事項
1. 結論
一般的な個人には、債券は不要だと考えています。
2. 米国の研究論文
Bloomberg で、株と債券に関する研究論文のニュースが報じられていました。
株式100%の戦略が老後資金の新常識、債券との分散投資上回る-論文
株式100%が、株6割+債券4割を上回るという内容でした。アメリカの研究者が検証を行ったようで、詳細はリンク先を参照して頂けると嬉しいです。
3. チャールズ・エリス氏の見解
チャールズ・エリス氏は、敗者のゲームで以下の通り述べています。
優良債券でも利息は2%。連邦理事会は、インフレ率が2%になるように目論んでいる。だとすると、債券から得られる利益はない。リターンを得られないなら、良い投資とは言えない。
また、債券を保有していないことも述べています。
私は債券を全く持っていない。
※「第15章 債券投資にひとこと」からの引用
4. 債券とインフレ
チャールズ・エリス氏の言葉を具体例に当てはめてみました。
1年後 | |
---|---|
債券に1万円投資 | 1万200円になる |
1万円の商品 | 1万200円になる |
債券で年率2%の利息を得ても、物価も2%上がるから利益はない、ということになります。
5. 日本のインフレ目標と国債
国債 | 年率 |
---|---|
第167回 変動10年 | 0.49% |
第155回 固定5年 | 0.25% |
第165回 固定3年 | 0.05% |
※ 利率は税引前です。
6. 債券の安全性
債券だから安全というわけではなく、社債は企業が破綻したらどの程度戻ってくるか分かりません。企業に資産がなければ、お金を返すことができないからです。
買収合意の話になりますが、クレディ・スイスのAT1債が無価値になった話は有名だと思います。
クレディ・スイス債2兆円強が無価値に、当局は市場沈静化を急ぐ
※ AT1債:債券と株式の中間的な特性を持つ証券
7. 債券とS&P500の投資信託
以下はいずれも eMAXIS Slim で、債券とS&P500のリターンには大きな差があります。
ファンド | 5年 |
---|---|
国内債券インデックス | -1.17% |
先進国債券インデックス | 4.92% |
S&P500 | 21.65% |
※ SBI証券のデータ(2024年1月31日時点、年率換算)
8. 機関投資家との違い
機関投資家は扱う金額が桁違いで、債券にも分散投資をしていると思います。特定の市場に集中させると、インパクトが大きすぎることも理由の一つだと思います。
一般的な個人は、株式100%にしても市場へのインパクトが少ないと思います。機関投資家と同じ方針にする必要はないと考えています。
9. 株式の損失をカバーする難しさ
2008年はリーマンショックが起きた年で、SPY(S&P500連動米国ETF)の年間収益率は-36.81%でした。
年初に100万円投資していた場合は、約37万円のマイナスになります。これを年率2%の債券でカバーしようとすると、約1,850万円が必要になります。
※1 SPYのデータは、海外版 Yahoo Finance を参照しました。
※2 為替と税金は考慮していません。
10. 長期保有で損失をカバー
2008年のSPYはマイナスですが、2009年~2017年までは連続でプラスになります。2008年~2017年末まで保有した場合のリターンは約125%になります。
S&P500やNASDAQ100は、何度も過去の高値を更新してきました。悪い時に投資しても、長期保有でプラスになる可能性があります。
11. 私の方針
私も株式100%で、NASDAQ100とS&P500の投資信託を購入しています。
自分で特定の銘柄を選んで投資すると、債券よりも良い成績になるのか分からないと考えています。
12. 注意事項
- 株式が必ず債券に勝てるとは考えていません。
- 今後の運用成果を保証するものではありません。