全世界株式のオルカンは本当に安全なのか、過去の実績を検証してみました。
また、収益性、GDPなどの経済面、今後のことも記載しています。
目次
- 安全性について
- 結論
- 元本割れの回数
- 元本割れの確率
- オルカンの構成比率
- 米国以外のETF
- 米国以外の安全性
- 収益性
- GDPとオルカン
- GDPと株式指数
- 何を重視するか?
- 何を購入しているか?
- 注意事項
- 計算方法
1. 安全性について
今回の記事では、安全性を元本割れの確率で評価します。
一般的な安全性の定義は以下の通りです。
投資した元本や利子の支払いの確実性を表す要素。
※ 日本証券業協会の用語集 からの引用
2. 結論
オルカンは、長く保有すれば元本割れがなくなる安全な商品だと言えます。
しかし、過去15年間を1年単位で見ていくと、S&P500やNASDAQ100よりも元本割れの確率が高かったです。
3. 元本割れの回数
以下の表は、ETFの年間収益率から作成したものです。増収の年と減収の年を回数で表しています。
ETF | 連動指数 | 増収の年 | 減収の年 |
---|---|---|---|
ACWI | MSCI オルカン | 11回 | 4回 |
SPY | S&P500 | 13回 | 2回 |
QQQ | NASDAQ100 | 13回 | 2回 |
※ 2009年~2023年の15年間
※ 海外版 Yahoo Finance の Annual Total Return を参照
4. 元本割れの確率
減収の年を元本割れ1回とすると、元本割れの確率は以下の通りです。
確率 | |
---|---|
オルカン | 約26.67% |
S&P500 | 約13.33% |
NASDAQ100 | 約13.33% |
引き続き、オルカンを構成する国の指数も見ていきたいと思います。
5. オルカンの構成比率
オルカンの構成比率ですが、上位6カ国は以下の通りです。
国 | 比率 | |
---|---|---|
1 | アメリカ | 62.42% |
2 | 日本 | 5.39% |
3 | イギリス | 3.54% |
4 | フランス | 2.87% |
4 | カナダ | 2.87% |
6 | 中国 | 2.76% |
※ ACWI の Fact Sheet を参照(2023年12月31日時点)
6. 米国以外のETF
以下の表は、MSCIの指数に連動するETFから作成したものです。米国以外の構成比率上位が対象です。
ETF | 連動指数 | 増収の年 | 減収の年 |
---|---|---|---|
EWJ | MSCI 日本 | 9回 | 3回 |
EWU | MSCI 英 | 6回 | 6回 |
EWQ | MSCI 仏 | 9回 | 3回 |
EWC | MSCI カナダ | 9回 | 3回 |
MCHI | MSCI 中国 | 6回 | 6回 |
※ 期間は2012年~2023年の12年間
※ 海外版 Yahoo Finance の Annual Total Return を参照
7. 米国以外の安全性
米国以外の国に連動するETFは、過去12年間で元本割れが3回か6回です。そのため、15年間で元本割れ2回のS&P500よりも安全性が低かったと言えます。
※ 全ETFの実績がある過去12年間を対象としました。
8. 収益性
ETFの総収益と年率は以下の通りです。MSCIの指数ですが、オルカンを超えるものはありませんでした。
ETF | 連動指数 | 総収益 | 年率 |
---|---|---|---|
QQQ | NASDAQ100 | 720.73% | 19.17% |
SPY | S&P500 | 373.61% | 13.84% |
ACWI | MSCI オルカン | 209.97% | 9.89% |
EWJ | MSCI 日本 | 113.14% | 6.51% |
EWU | MSCI 英 | 65.62% | 4.29% |
EWQ | MSCI 仏 | 176.26% | 8.84% |
EWC | MSCI カナダ | 79.12% | 4.98% |
MCHI | MSCI 中国 | 28.51% | 2.11% |
※ 年率は総収益の幾何平均
※ 期間は2012年~2023年の12年間
※ 海外版 Yahoo Finance の Annual Total Return から計算
9. GDPとオルカン
以下の表は、IMF世界経済見通しによるGDP(2023年10月発表・ドルベース)とオルカンの構成比率です。
国 | 2024年名目GDP | 構成比率 |
---|---|---|
アメリカ | 約27.97兆ドル | 62.42% |
中国 | 約18.56兆ドル | 2.76% |
ドイツ | 約4.7兆ドル | 2.07% |
日本 | 約4.29兆ドル | 5.39% |
インド | 約4.11兆ドル | 1.75% |
英 | 約3.59兆ドル | 3.54% |
仏 | 約3.18兆ドル | 2.87% |
カナダ | 約2.24兆ドル | 2.87% |
中国やドイツのGDPは日本より上ですが、オルカンの構成比率は日本のほうが高いです。インドのGDPも高いですが、オルカンの構成比率は2%未満です。
なので、これから経済的に成長していく国も、オルカンにどこまで影響を与えるか分からない気がしています。
10. GDPと株式指数
また、GDPだけでは、その国の株式指数のパフォーマンスが高いは分かりません。
日本のGDPはアメリカより低いですが、2024年3月27日時点の年初来だと、日経平均がS&P500を上回っています。
経済的な面と株式指数の収益については、分からないことが多いと感じています。
11. 何を重視するか?
人によって考えは異なると思いますが、私は過去のデータを重視するようにしています。
12. 何を購入しているか?
私は、S&P500とNASDAQ100の投資信託を購入しています。
地域を米国に絞ったほうが、金利や為替も限定されるのが嬉しいです。ただ、円高になるとパフォーマンスは下がると思います。
※ 今後も絶対にS&P500とNASDAQ100だけを買う、という方針ではありません。
13. 注意事項
- 為替は考慮できていません。
- 今後の運用成果を保証するものではありません。
- 2024年3月27日までのデータを元に記事を作成しました。
14. 計算方法
総収益は、年間収益率の複利で計算しました。
総収益 = (1 + 年間収益率1) × (1 + 年間収益率2) × ... - 1
※ 配当金は考慮できていません。